苔と熟成酒

苔と日本酒

「苔を愛でながら酒が飲める。」

古酒を試飲しながら、お客様がつぶやいたひとこと。

いにしえ酒店 店主の妻は蝶と苔がキライ。どちらかを家に持ち込もうものなら華の独身生活一直線である。そんな店主には無い発想であるが縁というのは不思議なもので、この言葉を耳にする1時間前に名刺交換をしたお客様がいらっしゃる。

 慶応義塾大学 経済学部 教授

 博士(理学) 有川 智己ありかわ ともつぐ

「経済学部…理学ですか?」

「えぇ。苔を。」

「!?」

何十、何百と繰り返された会話なのでしょう。慣れたように説明をいただき、色々な専門分野があるものだとしきりに関心しながらも真逆の人間がそばに居る私には少々縁遠いものに感じた。

しかし、それから1時間と経たずに別のお客様から冒頭の言葉。

たった数時間で、圧倒的な質と量で私の身近な ANTI を LOVE が上回ってきたのである…

身近すぎる苔たち

 ほどなくして、私の端末のGoogleで “ko” と入れれば履歴は苔かコロナばかり。人生でこれほど苔を検索したことは無いだろう。

 私が好きなお酒の一つにアイラウィスキーというものがある。スコッチ・ウィスキーの中でも特に個性的でヨードチンキや正露丸に例えられるクセの強い香りが一定のファンを獲得しているお酒なのだが、その香りは沼や湿地に生えるコケなどの植物が堆積してできたピートと呼ばれる燃料を使ってウィスキーの原料である麦芽を燻すことから生じる。つまり、あの脳汁溢れる香りには苔が一役買っている。

スコットランド ピートヤード
スコットランド ピートヤード

 さて、ウィスキーは飲まないという方もこの歌はご存知であろう。

「君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで」

 なんと身近なことか。

日本酒と苔

 日本酒を飲むシーンでもテロワールという単語を耳にする。

 日本酒の原材料は米と米麹。米は土壌や気候といった環境の影響を強く受ける作物であり、さらに大部分を構成する水の多くは地下水であることから自然と切り離して語ることのできない飲料である。自然の影響を強く受けるのは言うまでもない。しかし、飲み手や販売者である我々が着目するのは米の品種、水の硬軟、といった水質であり、そこに至るまでの自然に生きる動植物に注目して語られる機会は少ない。

 「苔を愛でながら酒が飲める。」

 よし。それならば、専門家の話に耳を傾け、苔を愛で、熟成酒を楽しもうではないか。

 自然における苔の役割とは?

 そもそも苔って?

 苔・自然・米・水・日本酒と通ずるものを探り、苔の魅力を学びながら日本酒の奥深さを感じれるはずである。酒が旨いのは山々に生えている苔のお陰かもしれない。

 今回のいにしえLABOのセミナーは有川先生をお招きして、そんな苔がもつロマンを語って頂きます。これを聴いたあとに飲む酒がさらに美味しくなること間違いなし❗

 「専門家と一緒に苔を愛でながら酒が飲める。」

なんという贅沢。


【セミナーの内容】

  • 有川先生の苔講演。
  • 私の推しゴケ分析。事前に参加者の中からご自身の自慢の苔のお写真をいただきます(任意)。当日、有川先生に論評いただきます。
  • 採集ゴケ分析。事前に参加者の皆さんにプロ直伝の苔採集指南書をお送りいたします。当日、採集してきた苔(任意)を有川先生に論評頂きます。
  • 苔観察。顕微鏡を使い、専門家の視点で苔の観察をおこないます。
  • 推し酒カンパイ。実際に苔を愛でながらいにしえ酒店の熟成酒を楽しんでいただきます。苔のもつ悠久のイメージにあった、深き味わいのお酒を提供いたします。

【開催要項】

開催日:10月17日(日曜日)

時 間:14:00 〜 16:00

定 員:11名(最小催行人数:6名)

参加費:5,000円 + 500円(消費税)

【講師紹介】

慶応義塾大学 経済学部 教授  博士(理学) 有川 智己
慶応義塾大学 経済学部 教授
博士(理学) 有川 智己

略歴

1997年 東京大学理学部生物学科植物学課程卒業、
2003年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(博士(理学))、広島大学大学院理学研究科助手、慶応義塾大学経済学部助教(有期)、鳥取県立博物館主任学芸員などを経て、
2013年 慶應義塾大学経済学部准教授、2020年より現職。

公益財団法人平岡環境科学研究所理事、環境省・絶滅のおそれのある野生生物の選定・評価検討会蘚苔類分科会検討委員等を務めている。

【パネラーの紹介】

酒とサブカル TANK
苔あさる、たんこちゃん

 冒頭の「苔を愛でながら酒を飲める。」と発した人物にも今回パネラーとして参加していただきます。

 文京区湯島にある、「酒とサブカルTANK」のオーナー 湯浅 丹子ゆあさ あかね氏。


 本企画実行にあたり、有川先生と打ち合わせをさせていただいたのですが、情報が溢れているこの世の中で素人が検索した苔の情報なぞ氷山の一角ですらないことがわかり、事前打ち合わせだけで苔の面白さが伝わり、次から次へと興味が湧いてきました💡🌀💡🌀💡

苔って食べられるの!?

wikipediaに書かれている、「日本の蘚苔類学会のある年に行なわれた観察会では、山間部の渓谷にコースを設定してあったのに、その入り口の駐車場周辺だけで1日を過ごしてしまったとの伝説がある。」はただの都市伝説なのか!?

 苔初心者の様々な疑問に答えて頂きます。